「経済的なアルトに乗りたいけれど、ベビーカーが載らないのでは?」と不安に感じている方は非常に多いのではないでしょうか。
確かにN-BOXやスペーシアのようなスーパーハイトワゴンと比較すると、アルトの室内空間は限られています。
しかし、結論から言えば「工夫次第」でアルトは立派な育児カーになります。
最初は「軽セダンで子育ては無謀かな」と悩みましたが、実際に検証してみると、ベビーカーの種類選びや助手席の活用、そしてチャイルドシートの配置を工夫することで、快適な移動が可能であることがわかりました。
この記事では、アルトの積載限界と、それを乗り越えるための具体的なテクニックを包み隠さずお伝えします。
- アルトの荷室におけるベビーカー積載の物理的な限界と現実
- A型やB型などタイプ別に見るアルトへの積載可否判定
- 狭い車内でも快適に過ごすためのチャイルドシート配置術
- アルトを選ぶことで生まれる教育資金などの経済的メリット
アルトにベビーカーは載るか?積載の限界と工夫

アルトという車は、限られた軽自動車規格の中で「居住スペース」を最大限に確保するように設計されています。
そのため、どうしても荷室(ラゲッジルーム)にしわ寄せがいってしまうのが現実です。
ここでは、具体的にどの程度のスペースがあり、どのようなベビーカーなら積載可能なのか、徹底的に深掘りしていきます。
アルトのトランクにベビーカーは入らないのか検証
まず、アルトの設計思想を理解しておくと、なぜ「ベビーカーが厳しい」と言われるのかがよくわかります。
現行のアルト(HA37S/HA97S)は、室内長が2,015mmもあり、大人が4人乗っても膝周りが驚くほど広いです。
後席に座って足を組めるほどの余裕があるのですが、これは裏を返せば「人のスペースを広げた分、荷物のスペース(奥行き)を徹底的に削った」ということになります。
アルトは「荷物を満載する頻度」よりも「人が快適に移動する頻度」を優先しているんですね。
具体的にどのくらい狭いかというと、後席を一番後ろまで下げた状態(通常の状態)では、スーパーの買い物かごを縦に置くのがやっと、あるいは少し斜めにしないと入らないレベルです。
日常の買い物袋程度なら全く問題ありませんが、ベビーカーのような「固形物」かつ「高さや奥行きがあるもの」を積む場合、この設計が最大のボトルネックになります。
ここが注意点
つまり、4人乗車(大人2人+子供1〜2人)の状態では、わずか数十センチの奥行きしかないラゲッジルームにベビーカーを収めなければならないのです。
そのため、「何も考えずにデザインだけで買ったベビーカーが、トランクに入らない!」という事態は十分に起こり得ますし、実際に納車後に青ざめるパパママも少なくありません。
ですが、諦めるのはまだ早いです。物理的な制約を数値レベルで知り、それに対応したアイテムを選べば、解決の糸口は必ず見えてきます。
アルトの荷室サイズと後部座席の狭さを実測

メーカーの公式サイトには詳細な荷室寸法が載っていないことが多いですが、カタログスペックからは見えないいくつかの「壁」があることに気づきます。
これからアルトを検討する方は、この「見えない壁」を事前に知っておくことが非常に重要です。
1. 荷室床面の奥行きはわずか425mm (42.5cm)
驚くべきことに、後席使用時の荷室床面の奥行きは約425mm(42.5cm)しかありません。
一般的なベビーカーの車輪径だけでも15cm程度あることを考えると、この数値がいかにシビアかお分かりいただけると思います。
奥行きのあるA型ベビーカーを積もうとすると、ハンドル部分や前輪がバックドアに干渉し、「あと数センチで閉まらない!」という悲劇が起きます。
2. タイヤハウスの張り出しが邪魔をする
次に気になるのがタイヤハウスの張り出しです。
荷室の床面を見ると、左右からタイヤのカバーが大きく出っ張っています。
カタログ上の「荷室幅」は最大幅で記載されることが多いですが、実際に使える「最小幅(タイヤハウス間)」は900mm程度まで狭くなります。
ベビーカーを横倒しで積もうとしたとき、この一番狭い部分にハンドルやタイヤが引っかかってしまい、底まで落ちずに浮いてしまうことが多いのです。
3. 後席背もたれの傾斜(スラント)
さらに厄介なのが、後部座席の背もたれの角度です。
快適性を確保するために背もたれは斜めになっており、上に行けば行くほど(トノカバー付近)、荷室の奥行きがなくなっていく構造です。
床面では425mmあっても、高さ50cmの地点では300mm程度しかないかもしれません。
これにより、高さのあるベビーカーを立てて積むことも難しくなっています。
A型は厳しいがB型なら助手席や足元に積載可能
生後1ヶ月から使える「A型ベビーカー」は、リクライニングが深く、フレームもしっかりした作りで赤ちゃんを守る安心感がありますが、アルトにとっては最大の強敵です。
一般的なA型ベビーカー(例えばコンビのスゴカルやアップリカのラクーナなど)は、折りたたんでも高さが1メートル近くあり、折りたたみ時の厚みも40cm前後あります。
残念ながら、一般的なA型ベビーカーをアルトのラゲッジに積むのは「ほぼ不可能」か、無理やり押し込んで「バックガラスの視界を完全に遮る危険な状態」になると思っておいた方が良いでしょう。
バックドアの内張りが傷だらけになるのも覚悟が必要です。
「じゃあA型を持っている人はアルトに乗れないの?」というと、そうではありません。
ラゲッジルームへの積載を諦め、別の場所に積むという発想の転換が必要です。私がおすすめするのは以下の2つの方法です。
助手席に積む(母子2人移動の最強パターン)

パパが仕事で不在、平日にママが運転して子供とお出かけするパターンなら、助手席は空いていますよね。
この場合、助手席を一番後ろまでスライドさせ、背もたれを少し前に倒します。
そうしてできた足元スペースや、助手席の座面そのものにベビーカーを置いてしまいましょう。
これなら、運転席から降りてすぐにベビーカーを下ろせますし、わざわざ車の後ろに回って重いバックドアを開ける必要もありません。
後席の足元に置く(B型・バギータイプ)
アルトは室内長が2,015mmと長いため、後席の足元スペースには意外なほどの余裕があります。
チャイルドシートを装着している足元はデッドスペースになりがちですが、ここにB型ベビーカーやバギータイプを横倒しで滑り込ませることが可能です。
特に、スティック状に畳めるバギーなら、足元にすっぽり収まることが多いです。
ただし、チャイルドシートにサポートレッグ(床へのつっぱり棒)があるタイプだと干渉してしまうので注意が必要です。
サイベックスのリベルならアルトにも余裕で載る

「どうしてもラゲッジに積みたい」「週末はパパも一緒だから4人乗車したい」という方にとって、唯一にして最大の救世主となるのが「三つ折りタイプ」の超コンパクトベビーカーです。
その代表格であり、現在のベビーカー市場で覇権を握っているのがサイベックスの「リベル(LIBELLE)」です。
このベビーカー、折りたたむとなんと自転車の前カゴに入ってしまうほど小さくなります。「B型相当」なので生後6ヶ月頃からの使用になりますが、そのサイズ感は革命的です。
高さ:約48cm
幅:約32cm
奥行き:約20cm
先ほど「アルトの荷室奥行きは425mmしかない」とお話ししましたが、リベルの奥行き(畳んだ時の厚み)は20cmです。
つまり、余裕で入ります。なんなら2台入るかもしれません。
高さも48cmなので、後方視界を遮ることもありません。縦に置いても横に置いても、隙間にポンと放り込める感覚です。
これなら、家族4人でスーパーに行って買い物袋をいくつか積んだ状態でも、その横にベビーカーを積んで帰ることができます。
「車に合わせてベビーカーを買い替える」あるいは「アルトで浮いたお金でリベルを買い足す」。この逆転の発想こそが、アルトライフを快適にする最大の鍵です。
アルトにおすすめのコンパクトベビーカー3選
リベル以外にも、アルトの狭いラゲッジに対応できる可能性を秘めたベビーカーはいくつか存在します。
ここでは、特に相性が良いモデルを厳選し、スペックと実用性を比較してみました。
これからベビーカー選びをする方は、この表をスクショして販売店に行ってみてください。
| モデル名 | タイプ | アルトへの積載 | 特徴・推しポイント |
|---|---|---|---|
| Cybex LIBELLE (サイベックス リベル) | B型相当 (6ヶ月〜) | ◎ 余裕 | 最強のコンパクトさ。アルトのためにあると言っても過言ではないサイズ感。走行性も高く、段差にも強いのが嬉しい誤算。 |
| Babyzen YOYO2 (ベビーゼン ヨーヨー2) | B型相当 (A型切替可) | ◎ 余裕 | 折りたたんだ時の薄さが魅力的。デザインもおしゃれで所有欲を満たす。新生児用パックを使えばA型としても使えるが価格は高め。 |
| Jeep アドベンチャー (ジープ バギー) | バギー (7ヶ月〜) | △ 工夫次第 | スティック状になるので、ラゲッジの隙間に斜めに差し込む形で積載できる可能性あり。価格が安く、セカンドベビーカーとして最適。 |
「Jeep アドベンチャー」のようなバギータイプは、折りたたむと細長くなります。
長さが1メートルを超えることがあるため、アルトの荷室幅(約90cm)には真横には入りませんが、対角線上に斜めに置くことで積載できるケースがあります。
ただし、他の荷物が積みにくくなるので、やはりリベルのような三つ折りタイプが「アルト最適解」であることは間違いありません。
アルトでベビーカーを使う際のチャイルドシート配置
ベビーカーの問題がクリアできたら、次はチャイルドシートです。
天井が低めのセダンタイプであるアルトにおいて、どの位置に、どのようなチャイルドシートを取り付けるのが正解なのでしょうか。
安全性と居住性のバランスを考えた配置術をご紹介します。
アルトへのチャイルドシート取り付けとISOFIX

現行のアルト(HA37S/HA97S)は、法規制に対応しており、後席左右にISOFIX(アイソフィックス)アンカーを標準装備しています。
これはシートベルトを使わずに、車側の金具にチャイルドシートのコネクターを差し込んで固定する方式です。
シートベルト固定式に比べてガッチリと、しかも誰がやってもミスなく簡単に取り付けられるので、安全性を最優先するならISOFIX対応モデルを選ぶのが基本です。
ただし、アルトにISOFIXチャイルドシートを取り付ける際、一つだけコツがあります。
アルトのシート形状によっては、アンカー金具が座面と背もたれの隙間の奥の方に隠れていることがあり、コネクターを差し込むのに少し苦労する場合があるのです。
取り付けの裏技
そんな時は、別売りの「ISOFIXガイドキャップ(ガイドフィクサー)」を使いましょう。
これをあらかじめ車の金具に引っ掛けておくことで、差し込み口が広がり、スムーズにカチッと装着できるようになります。数百円で買えるアイテムですが、ストレスが激減しますよ。
助手席や運転席の後ろなど座席配置のポイント
チャイルドシートを左右どちらに付けるかは、非常に悩ましい問題であり、ドライバーの体格によって正解が変わります。
それぞれのパターンのメリット・デメリットを見ていきましょう。
助手席の後ろ(左側)に設置する場合
基本的にはここが「定位置」です。日本の道路事情では、歩道側(左側)から子供を乗せ降ろしできるため、安全性が最も高いからです。
運転席から振り返れば子供の顔が見えるのもメリットです。
しかし、回転式などの大型チャイルドシートを設置すると、助手席の背もたれと干渉することがあります。
その場合、助手席を少し前にスライドさせる必要があります。助手席にパパ(身長175cm以上など)が座る場合、足元が狭くて窮屈な思いをする可能性があります。
運転席の後ろ(右側)に設置する場合
こちらは注意が必要です。運転手が背の高い方(足が長い方)だと、運転席を後ろまで下げてドライビングポジションを調整しますよね。
もし後ろに大きなチャイルドシートがあると、シートが下げられず、膝がハンドルに当たるような窮屈な姿勢で運転を強いられるリスクがあります。
逆に、ママが小柄(150cm台など)で運転席をかなり前に出すポジションなら、運転席後ろのスペースは広大になるため、ここにチャイルドシートを置くのが合理的になります。
私のおすすめは、「できるだけコンパクトなチャイルドシートを選び、基本は助手席の後ろに設置する」スタイルです。
もし助手席が狭くなるようなら、小柄な方が助手席に座るなど、家族で相談して席替えをするのが良いでしょう。
新型アルトの内装と収納スペースの実用性を解説
「安い車だから装備もそれなりなんでしょ?」と思われがちですが、最近のアルトは育児世代に嬉しい装備が充実しており、良い意味で期待を裏切ってくれます。
特に私が感動したのはシートヒーターの存在です。現行モデルでは、運転席(グレードによっては助手席も)にシートヒーターが装備されています。
これが冬場の保育園送迎で神機能となります。
エンジンをかけても暖房(エアコン)から温かい風が出るまでには数分かかりますが、シートヒーターはスイッチを入れて数十秒で背中やお尻がポカポカになります。
冷え性の多いママにとって、この即暖性は涙が出るほどありがたいものです。
また、USB電源ソケット(Type-AとType-Cの2口)がインパネに装備されている点も見逃せません(HYBRID Xなど)。
移動中にママのスマホを充電するのはもちろん、子供がぐずった時にAmazon Fireタブレットなどに給電しながら動画を見せることも可能です。
昔の軽自動車とは違い、現代のデジタルライフに対応した実用性をしっかり備えています。
軽自動車アルトの維持費と教育資金へのメリット

ここがアルトを選ぶ最大の理由であり、他のデメリットを全て帳消しにするパワーがあります。
正直なところ、N-BOXなどのスーパーハイトワゴンは広くて便利ですが、新車価格で200万円を超えることも珍しくありません。オプションを盛れば250万円コースです。
一方、アルトならグレードによりますが、新車でも100万円台前半、総額で見てもハイトワゴンより50万〜80万円ほど安く済むケースが多いです。
この「浮いた50万円」の価値を、どう捉えるかです。
50万円でできること
・子供の習い事(スイミングやピアノ)の月謝、数年分
・家族で海外旅行やディズニーランドへの豪華旅行
・将来の大学進学費用のための投資信託の元本
・6万円する高級ベビーカー(リベルやYOYO2)を2台買ってもお釣りが来る
さらに、燃費性能も圧倒的です。スズキの公式データによると、アルト(HYBRID 2WD)のWLTCモード燃費は27.7km/Lを記録しています(出典:スズキ株式会社『アルト 主要諸元』)。
実燃費でもリッター20km以上走ることはザラで、ガソリン代高騰の時代において家計の強力な味方となります。
車という「移動するための道具」にかけるコストを最小限に抑え、その分を「子供の体験」や「将来の可能性」に投資する。
広さを我慢する代わりに、経済的な自由を得る。これは非常に賢く、愛情のある選択だと私は思います。
アルトとベビーカーでの移動を成功させるまとめ
「アルト ベビーカー」と検索してこの記事にたどり着いた方は、きっと経済性と利便性の間で揺れ動いていたのだと思います。
「お金があれば広い車が買えるのに」と少しネガティブな気持ちになっていたかもしれません。
確かに、アルトですべての要望を叶えることはできません。
大きなA型ベビーカーを載せて、大人4人でキャンプ道具も積んで旅行に行くのは物理的に不可能です。
しかし、「普段は母子2人で移動」「週末はコンパクトベビーカーを活用」「遠出の時はレンタカー」といった割り切りができれば、アルトは最強のコストパフォーマンスを発揮するパートナーになります。
重要なのは「車を買う前にベビーカーとの相性を確認すること」です。
これからアルトを検討する方は、ぜひ手持ちのベビーカー、あるいは購入予定のベビーカーの箱サイズを測って、ディーラーで試乗車に入れさせてもらってください。
「意外といけるじゃん!」と思えたら、それはあなたにとって最高の相棒になる合図です。
広さを高いお金で買うのではなく、知恵と道具選びでコンパクトに暮らす。
そんなミニマルで合理的なライフスタイルこそ、これからの時代の子育てに合っているのかもしれませんね。
ぜひ、自信を持ってアルトという選択肢を選んでみてください。